研究紹介

 

タマバチ科は、植物に産卵して、虫えい(ゴール、虫こぶ)と呼ばれる構造物をつくり、その中で卵~成虫へと羽化するまでを過ごす、虫えい形成昆虫として知られています。クリの重要害虫であるクリタマバチ(下図)を含む等、樹木害虫としての側面を有するほか、昆虫-植物間の相互作用や捕食寄生者とゴールの形状の関係、単為生殖-両性生殖の進化等、基礎研究の材料としても注目されます。しかし、その分類体系は未だ確立されておらず、国内種に限っても未記載種や分類学的検討を要する種が数多く存在しています。

 

ここではタマバチ科の分類学的研究の成果の一部を簡単にご紹介しています。

 

■コンテンツ■

 

1. 世界初!カシに虫こぶをつくるタマバチ(Ide et al. 2010)

 

2. ドングリの中のタマバチはただものではない!(Abe et al. 2011)

 

3. 続々発見!カシを寄主とする新種のタマバチ(Ide et al. 2012, 2013)

 

4. クヌギエダタマバチの正体に迫る!(Ide and Abe 2015)

 

5. フォークをもったタマバチ?(Ide and Abe 2016)

 

6. ナラに太鼓をつくる3種のタマバチ(Ide et al. 2018)

 

7. 居候しないイソウロウタマバチの進化(Ide et al. 2018)

 

8. イチイガシのタマバチの世代交番(Ide and Abe 2019)

クリタマバチによって寄生された栗の木。クリタマバチ(左下)によってクリメコブズイフシ(右下)が形成されると、その部分は枯死してしまう。
クリタマバチによって寄生された栗の木。クリタマバチ(左下)によってクリメコブズイフシ(右下)が形成されると、その部分は枯死してしまう。